ピザを食べて、後悔した。
何故にこんな選択をし、こんな情意に翻弄されているのか、かんがえる。
今朝、休日を返上して、労働に勤しんだ。楽しみに立てた計画を踏み倒して。楽しみ、は煩悩へと形を変えて、務めへとむけたい注意を、阻害する煩悩へと形をかえた。
煩悩に懊悩八倒した未熟に怒り、気功の鍛錬の負荷を、日頃よりも数段高めた。
楽しいとはいえ、自らに深い集中を施さねばならぬ執筆作業に、無理くり心を合わせた。
理想的にやりたいことを、やれて浮かれて、るんるんと夕食は出向くと、そこは閉店していた。
ほんとうは、そこで帰れればよかったんだ。楽しみが打ち砕かれようとも、瞑目静慮して、現状を解き、行為の選択肢を把握し、その行為がもたらす禍福を計算し、妥当な行為に心を込めて行えれば…。
可能世界によろめく。これもまた、愚かしい。
夕食に迷い、以前より気にかかっていたピザ屋へ。800円のジュースを頼む。2000円のピザを頼む。不必要なケーキを持ち帰る。
日頃、スーパーの10円の差額に、敏感な反応を示す、懐事情でありながら。
気狂い。平静を完全に喪失し、自分が誰で、どんなことをしたいのか、そんなことすらわからなくなるほどの、見当識障害。
物価は高くてもよい。いや、もっと高くてもよい。そうすれば、経済規模が拡大し、生産消費サイクルは軽やかに回転し、もっとよりよい商品が市場に投下される。即ち、人類の可能性の拡大、人類の性質のさらなる理解に繋がる。
が、僕は貧乏だ。仮に、市場で高価値に換算できる財産を、もちあわせているという自認があろうと、今、貧乏だ。
貧乏でありながら、欲は広く大きい。
使い途が違う。まったく違う。
が、犯し、越えた。
現状を把握し、罪悪感は断ち切られた。残ったのは、切なさ。もろく、かよわい、ひとに生きるということ。
不必要なケーキとともに、切なさを添えて