ひきこもりから、社会にあそぶ

常識を壊して、常識にあそぶ、常識を創る

技能実習生の笑顔の奥に、日本人派遣労働者の倦怠を尻目に

 出勤し、先輩方と挨拶を交わす。仕事の詳細を確認するために、言葉を交わす。初めましての人に、自己紹介をする。

 放たれる言葉に隠れた、表情、機嫌、欲求、姿勢に注意を払う。

 この職場は派遣で回っている。日本人労働者は一様に疲れ、諦念している。何に?思いを凝らす。

 社会通念によるところ、派遣は底辺だそうだ。学歴に引け目あり、スキルに乏しく、将来性に欠ける。所得は貧困、代用品で自らを慰め、スマホの画面に写るキラキラを、眺めて消費する。

 生命のもつ渾々と湧き出ずる可能力を、平目キョロ目で減殺し、トドメとばかりに自己憐憫、自己嫌悪。世界を嘆き、社会を厭い、自分に毒づく。イタくて、くるしい。スクワレタイ、ムクワレタイ。そんなことを、言外に感じさせる。一緒にいると辛い。

 一方、アジアからの技能実習生。シナ、インド、ネパール、フィリピン、ベトナム。所違えど、彼らに一様に備わっているのは、無垢な笑顔だ。彼らと挨拶をすると爽快だ。やる気と元気をお裾分けしてもらえる。

 彼らは、本国での平均収入の倍以上を稼ぎ、家族のために仕送りをしているらしい。世界一難しいと言われる日本語に挑戦し、異国の地で仲間とともに苦役に挑む。帰国後は、稼ぎを元手に投資や起業をしたり、家族に家を買ったり、未来は希望に満ち満ちている。彼らは、紛うことなきチャレンジャーなのだ。

 彼らの笑顔は、これまでの成功体験と、明るい未来への展望と、彼らの属する社会での責務の全うによって成り立っているのだろうか?つっこんだ会話をする言語能力が、互いにないのが残念だ。

 昨今、技能実習制度廃止が検討されていると知った。政治的な駆け引きはわからないし、現在の日本国のリソースを、正確に把握し、傾斜を配分する計算能力もない。

 ただ、彼らの笑顔は美しい。それは確かなことだ。