眠り、覚め、行に凝る。
桜味のどら焼きを咀嚼していると、頭上より、声が降ってきた。ちがう、と。丁度、身体と心の縁を、遡及している最中であったため、見当がついた。
なるほど、身体も心も、僕のものではなく、まさしく随縁。宇宙開闢からの、生命誕生からの、父母の愛からの、不思議な関係の集積の最先端であって、現代社会の文脈、即ち、個人を前提とした所有、生命権に僕の存在を押しこめて生きるのは、さぞかし生きにくかったろうに。
これらの知識は、既に理性によって、計算済みだった。が、腑に落ちたのは、ついさっき。気づいてから、どれぐらいの時を経ただろうか。
こんな形で、悟るとは。なんとも、妙だ。