親方は激する。怒りの原因は無秩序で無軌道。理解不能。モラハラ、パワハラ、初体験。怒られてわかる、面従腹背のきもち。やらないけどね、信念に反するから。けど、楽なのだろうなぁと、少しよろめく。
「汚いからオメェ、出ていけ」
「バカか、オメェ」
「親方って呼ぶな、お前なんかに呼ばれたくねぇ」
「髪を隠せ、バカ」(これは、ぼくの落ち度)
「邪魔だ、どけ」
こんぐらいかなぁ、言われたの。
こっちの落ち度は、彼の怒気に合わせずに、軽やかに声をかけ続けたことかな。彼が、その軽さに苛立つのを知りながら、つづからね。復讐的な動機から発するのではなく、なるたけ、彼の心が軽くなるようにと、願いながら声をかけ続けたのだけれど、効果はなかった。
残念。対話もできず、それどころか、呼びかけること自体を遠慮する様に、威嚇されてしまった。
かなしいな。厨房で、女性給仕にぼくの悪口を吹きこむとなりの広間で、いそいそと片づけに励む歳末。得難いかな、おかしくて、つい笑う。
とどめの一撃。
業務を終えた彼は、給仕係全員の集まる厨房で、驚くような笑顔とともに「俺のメシはうまいか?」
ぼく「ええ、とてもおいしいですよ♪」
親方「お前、長くは生きられんで。せいぜい40までやな」
ぼく「どういうことですか?」
親方 東北弁訛りで聞き取れず
いやあ、参ったね。毒入りなのかな、まかない。
ゆく年くる年23回、初も初。おめでたいね☺️