日光元湯温泉湯の湖畔前より、中禅寺湖まで10キロ、前払いされた給料をおろすためのATMを求めて歩く。
寒い。日が陰るなか、はやる気持ちを選ばずに、腹を据えて北風を凌ぐ、価値を削ぐ。
動物たちに会えるといいなぁ、願望を守護霊に伝えてみる。キツツキ、猿、ウリボーに出くわす。
昨日もそうだった。湯の湖畔を歩きながらふと、動物に会いたいと願いたくなり願った。すると、会わせてやろうと返答。だけれども現れず、むりかぁ〜と諦めて、寮の手前で鹿に会う。会わせていただいた?
昨日といい、今日といい、守護霊的なるものへの信憑性はグッと高まった。
寒さは辛いが、高度成長以前の空調なき時代を味わえているような、貴重な体験はおもしろい。江戸の交通の基本、脚。脚を使って冷えた空の下を這う。良き哉、善哉、これぞ歴史。時代の風は去り失せたけれど、ものを拵え、心を合わせれば、そこに歴史は現れる。臆見かな、けれども最善、これ以上の方法は知らない。
かつて炭焼きは、むしろ売りは、こうやって寒村より町に降り、銭を得ては薪を買い、簡単に殺すこの風雪をやり過ごしたのかな。良く売れれば、酒や餅、甘味をふところに、家族へふるまい団欒に興じたのかな。歩きながら馳せる江戸の寒村。凍える身体を温める燃料。
給料はスーパーで茶に化けて、ほっこり。道路三法を礼拝しながら、バスにほっこり。良き旅路。
そういえば、東京の近代美術館で騎龍観音の絵画を観ようとしたのだけれど、どうにも都合がつかなくて残念に思っていた今日この頃、竜頭の滝にて竜頭観音に出会えた。良き縁をもらった。まるで分身のように感じる、通過点としてあるべき姿に感じる、龍と観音の合同。