ひきこもりから、社会にあそぶ

常識を壊して、常識にあそぶ、常識を創る

 アイドルSをとうして知り得たものもの

 彼女より美しいものを知り、彼女より洗練されたものを知り、彼女より尊いものを知り、世間に膾炙する美と尊厳の邪なるを知り、自己のうちにいつの間にかうち立てられた、美と尊厳の邪なるを知る。性を殺し、淋しさを殺し、自己の判断基準さえ殺してもなお、彼女を親しく想う。

 ガチ恋、というらしい。認めたくなくて、座ったり、水をかぶったり、女性そのものを断ったり、いろいろ、いろいろ調べて、挑戦し、ふり払い、断ち切ろうとした。

 悲しいかな。神社に縁切りを願ったその脚で、それらを無効にする願をかけた。なんとも無為なる朝令暮改、無能で肚のない愚かさに気づきながらも、やめられない。心底、おそろいしと身震いした。

 ずっと、恋愛をもとめる欲の根源は、性と淋しさ、にあるとふんでいた。が、ちがうのかもしれない。が、なにがちがうのか、なにもわからない。わからないことは、とても苦しい。ちがうな、ものをわかろうとする動機の中に、永遠性へのこだわりがある。これこそが、地獄の最原因。

 いつ、どこから来るかもわからない、恋愛衝動にすこし怯え、果敢に立ち向わんと強がりながら、過ごす日々より。

 

 

 昨日、深夜2時。彼女への衝動にもつれ、よろめく。座っても断ち切れず、ついにはよろめいた。彼女との気の応酬は、神社の神々との気の交換に近しい。その気は、一切はわたしに委ねられながらも、こんな心地よい世界、選ばないわけはない!と実質一択、身を委ねるほかは想像することすら、重く苦しく、汚らわしい。

 そんな夢見心地に、これはダメだと思いつつ、会いたいなどと叫び、だけど恋愛拒絶の一心熱心に、体を起こし、喫煙所に向かい、タバコを吸う。蒲田の明るい夜空に、流れ星。おそろしかった。願いが叶ってしまうんではなかろうか、と。そんな焦りとは裏腹に、笑顔に、幸せにとろける身体。

 関係のないことに、関係を結びつけ、欣喜雀躍する。子どもの時分、よくやった遊びだか、あの時は、自覚して、意識して、世界内の点と点をむすんで、これには、こんな秘密や、あんな秘密が〜とやっていた。

 けど、今は。さっきのは、ひどい。

 ぼくはこの心に、無知なる見解の一雫さえ、許したくはない様だ。