ひきこもりから、社会にあそぶ

常識を壊して、常識にあそぶ、常識を創る

水上温泉、勤務初日

 カーテンを開けると、桃源郷。リゾートバイトの醍醐味に心震える。今日は快晴、陽の光に身を預ける。とても心地よい。川の音に心を傾ける。

 はじめての勤務に際しての高揚と不安とを味わいつつ、歩をすすめ一分、フロントで先輩と合流。ペルソナへの移行は、ごくスムーズに。

 ホテル朝食の案内と配膳、空いた時間で食器を下げて洗う。客の態度に気を配りつつ、音をたたぬように丁寧に配膳を行う。簡単な職務といえど、奥深く探究することもできる。とりあえず、現状の僕にできる社会貢献であり価値表現だ。自らを貶めることなく、遊びたい。

 付帯業務に移り、ホテルの客室清掃。やり慣れた仕事、客室の細やかな配置と清掃用具の保管場所を覚え、とりあえず動く。客入りは薄く、急ぐ必要がない。故に、禅定が途切れやすくポツポツと想いが浮かんでは消える。

 将来への軽やかな希望、自尊意識からの現状への不満、時給という不可解な労働価値判断基準、現行の社会への順応の態度がもたらす心への利益不利益、ホテルが運営されることによりもたらされる人々の喜び等。

 いつのまにか労働は明ける。しまった、集中の対象を間違えた!今頃になって気づく。取り返すように、帰宅後即瞑想。しかし、東京漂流の疲れが取れておらず、うつらうつら。シエスタと決め込むも、5時間睡眠に。

 夕食はうどん。電気ポットでゆがき、紙コップによそぐ。なんともまぁ…。しかし、要があればみつかるもんだなぁと、ちょっと感心した。f:id:KajikiZen:20230712014027j:image

 田中正造の紹介番組をEテレで見る。彼の天皇への直訴事件の裏には、馴染みの新聞記者に、「死を覚悟すれば…」と提案されたことにより、選択されたものらしい。人との繋がりがもたらす益、こういった形もあるのだな。力に満ち満ちていても、使い道がなければ、己を重力で押し潰してしまう。彼が得た道、彼の力あってこそではあるが、友の一声無ければなんともならならなかったであろう。少し羨ましい。僕には友達がいないから。道も定まり、力もある。孤独になじみ、独立独歩でもう何年か?それでも失せぬ、友とのの邂逅の夢想。あぁ〜、まぁしょうがない、人として生まれ、人として扱われ、人として生きてきたのだから。ゲーテの言葉が輝いてしかたない。「新鮮な空気と光と友、これだけあれば…」いつの日か、味わってみたいものだ。