今日、奥日光の宿屋への派遣が決まった。数日間は、千秋の日月の巡りに等しく、安心の程は、並みではなかった。母はすぐに連絡を入れ、溢れ出でる安心を分つ。
ネットカフェ、明るすぎる一畳一間にてゆるりと過ごしながら、ながれでるこのひと月半の回想をたどる。
意気軒昂に、当てもなく水上を羽ばたいた。いのちのつかいかた、まちがえたくなかったから。
スキルのないぼくには、選べる職業は少ない。けれども、その中において、ぼくがもっとも成長することができる職業を選択することはできる。ぼくは、それを売専と心得た。水上で覚悟はつけてきた。それ以前、実家の布団の中でのたうちまわっている時からすでに、決意はしてきた。
タイミー、シェアフル、日雇いで学費を稼ぎながら、いつか、いつか、と売専への応募を焦らした。内観は充分、覚悟の一欠片、自分の心に求めず、他に依った。
覚悟なく、売専の道。贖罪と悪性の許容。それらが未来に起こすであろう、心の地獄。彼らへの拒絶、圧倒的孤独、やわらかな愛の永き喪失。
これらの不安は、ぼくを労働へ誘う気力を、完全に吸い尽くした。斃れて、泣いた。けれども動く。道を拓くために。ここで斃れることは、私を越えて、縁ある人々全体へと波及する。故に動く。そういって、7、8社に応募したが、すべてエントリー段階にてすべった。
エントリー写真
救われた。地獄を選ぶために備えた用意は、すべて台無しになった。それでも、何度も内観して、確認しても、救われた。この結果にしか、辿り着かない。幾年もまたいだ業が、ようやっと溶けた。こころはまた一つ、軽くなった。
が、思いの外大業で、引きこもりは長引き、水上からの所持金は底をついた。
根張った腰を、ゆっくりとゆるくやわらがせ、生活を確保するだけの気力を回復させる。その過程で、一度撤退、この4文字は力を得た。
水を得たうおの如くに、この考えは生き生きと魅力をもって、もっと苦しめ、もっと行ぜよという子守唄を馬耳にて流し、この道へながれた。そして、つながった。
つながった結果の地より心を観ると、これでよかったと言える。安心、楽天、希望、回復、そして再挑戦。そんな心地を味わいながら、うちこむ画面へ今の今。